***世界が悔やむ最果て
―13―
室内設定温度27度。
熱帯夜なので、送風ではなく自動にしている。
通常の冷房を入れた部屋、何よりリヴァイアスよりは暑いが
涼しいと言えば涼しい空間だ。
けれど、今は暑かった。
たとえ冷房を入れて温度を下げても暑いだろう。
「……んっ…あ…」
「はぁ、う……」
呻いて、ほとんど同時に吐き出される液体。
昴治は自分のモノと祐希のモノを擦り合わせて、その液体を手で受け止めた。
睫を震わせている祐希に昴治は唇を寄せる。
軽く唇を啄ばむと、二度、三度、祐希が唇を啄ばみ返して深く舌を入れてきた。
口腔をかき回す舌に昴治は瞳を細めて、受け止めた精を手の中で音を立てさせる。
くちゃ
耳に聞こえる、淫靡な音に昴治の瞳が暗く煌いた。
「……」
唾液の糸を引き、唇が離れる。
上気する頬になり、何処か切なそうな表情になるものの
やはり鋭さの残る祐希の顔を見つめた。
弟は瞳を瞬く。
「……少しずつな……」
囁いて、昴治は祐希に抱きついた。
じっとしている相手の臀部に手を回す。
「っ……くっ、」
戸惑う祐希に、昴治は笑みを浮べた。
頬に唇を寄せる。
「力、抜けば……大丈夫」
瞳が滲み、祐希は昴治の首筋に顔を埋めた。
「っ……く……ぁぁ……」
「……痛く、ないだろ…?」
「……はぁ……アニキ……」
戸惑いの瞳を受け止め、震わす理由である指を深く突き動かした。
内部は熱く、淫らに蠢いている。
ゆっくりと動かし、ある一点を強く押した。
「っ!?」
ビクンッと大きく祐希は跳ね、そして昴治の首筋に噛み付く。
お腹に飛び散った精がベトリとつく。
指をゆっくりと引き抜くと、噛み付いた唇が戦慄きながら離れた。
前触れもなく、吐き出した精に祐希は瞳を瞬かす。
「……」
じわじわと、噛まれた首筋が痛み出す。
(俺……なに、してんだろ)
唇に笑みを浮べて、痛みが全身に行き渡るのを昴治は感じた。
首筋には血は出ていなくとも、歯型は残っているだろう。
そこから、何かが入り込んで、じわじわと伝わって
自分の中に、弟が すみつく。
「……ゆうき」
唇を開いて、昴治は祐希の首筋に噛み付いた。
歯型が少し残る程度の弱さ。
明日には、もう消えているだろう痕。
「っ……っ…」
戦慄いている咽喉を舐めて、自分の体を抱きしめる祐希の肩口に
額を当てた。
何故か、目頭が熱くなる。
昴治は少しの混乱をしていた。
すみついた、それは
じわじわと 自らの領域をも侵しても、更に広がっていく
養分を得て成長する
寄生
「ゆうき……」
混乱の中、昴治は弟の名を呼んだ。
生まれて、広がる何かに震えて。
芽生えた、それは、きっと醜い
(続)
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