***寝霧の眠り

 「目覚める夢」








ソノ、不思議なキモチ

ドウシテ?

ユックリ、アナタハ進ム。

アナタは一人、瞳を閉ジル。
















初まる世界。
終わる世界。
終ワラセタ、セカイ。

コンナ、モノはイラナイ

暗い、暗い
何も見え、ナイ。
赤い雨が降る。
降り注ぐ










アイバ・ユウキ







アナタは私を見ナイ。

「ムカツクンダヨ、」

――誰だ、てめぇは

「ムカツクンダヨ、ヘラヘラしやがっテ。」

私を見ナイ。
見ようと、シナイ。
他に追イカケテル人が、いるカラ。
ダカラ、目に映さ、ナイ。

――ケンカ、売ってんのかよ

「あのヒト、アナタを見ナイ、アナタが壊したモノ。」

――何、言ってやがる

「ドウシテダ、兄貴。」

向けられる瞳。
ココロ、痛ム。

「オレを一つにスルナ、他の奴と一緒は嫌ダ。
オレダケ、見テ。
オレダケ、見テヨ。
求メテ。
手ヲ伸バシテ。
オレノモノ、ナンダヨ。
オレノモノ、ナンダ。
追イカケテ、コイヨ。
アンタはドウシテ、死ンデル奴と一緒にナルンダ。」

――頭、おかしいのかよ

見ナイ。
見ないなら、ソレデイイ。
アナタはココロを投げカケル。

「あのヒトはアナタを見ようとシナイ。」

ココロ、ガ痛イ。

「あのヒトはアナタのモノにならない。」

――さっきから、わけわかんねぇコト言いやがって
   あの人って何だってんだ!!

「あのヒト、アナタを傷つけた。アナタはあのヒト傷ツケル。
雨の日、
赤く染まってイク、セカイ。」

激シイ流れ。
燻る嵐。
アナタのココロはグシャグシャ。

「あのヒトはアナタから背キツヅケル。」

――うるせぇよ

「あのヒトはアナタを認メナイ。」

――うるせぇ

「あのヒトはアナタを――――、」

――うるせぇって言ってんだよっ!!

閉ザス、ココロ。
でも、
アナタの想うココロ
キレイ。
キレイ、ダカラ。

「あのヒトの声、きこえるハズ。」

もう、きこえてるハズだよ。

「きこえるハズ。」

小さな叫び。
哀嘆な悲鳴。

「終ワラセタ、セカイ。
でも、想いは消エナイ、モノだから。」

あのヒトの音のない、叫び。

「きっと、痛くなくなるカラ。
声をきいて。あのヒトの声、きこえるハズ。」

だって、アナタは
あのヒトを想ッテル。





























閉じた視界。
歪む視界。
初まる偽り。
偽りは過去への畏れ。

コンナ、モノ認メナイ

温かい、温カイ。
黒い闇。
横タワル躯、
後悔と偽りの正義。









オゼ・イクミ









アナタは私から目を背ける。

「ナンデナンダ。」

――誰だっ

「護ルンダ、絶対に死なせナイ。」

私から目を背ケル。
目を会わそうと、シナイ。
ナニカ、見たくないモノを映すカラ。
ダカラ、ココにいると思わ、ナイ。

――ここは立ち入り禁止のはずだ

「あのヒト、アナタを拒ム。アナタが見放したモノ。」

――何、言ってるんだ

「ドウシテダヨ、コウジ。」

向けられる、瞳。
ココロ、裂ケル。

「オレを拒まナイデ、他の所ヘ行クナ。
オレノ傍ニイテ、
オレノ傍ニイテヨ。
護ラセテ。
手ヲ掴ンデ。
オレノモノニ、ナレヨ。
オレノモノニ、ナッテ。
ソノ瞳デ、見ツメテヨ。
オマエはドウシテ、オレから離レテ行ッテシマウンダヨ。」

――何を…

背ケル。
背けるのなら、ソレデイイ。
アナタはココロを滲ミ出ス。

「あのヒトはアナタは拒み続ける。」

ココロ、が裂ケル。

「あのヒトはアナタのモニにならない。」

――さっきから何だ。何がいいたいんだっ!
   あのヒトって誰なんだよっ!!

「あのヒト、アナタを傷つける。アナタはあのヒトを傷つけた。
倒れる躯。
突き放した。暗くなってイク。」

渦巻く黒い闇。
揺るぐ炎。
アナタのココロはメチャメチャ。

「あのヒトはアナタを否定シツヅケル。」

――うるさい

「あのヒトはアナタの傍ニ来ナイ。」

――うるさいっ、うるさいっ

壊す、ココロ。
でも、
アナタの想うココロ。
キレイ
キレイ、ダカラ。

「あのヒトの声、わかるハズ。」

もう、わかっているハズだよ。

「わかるハズ。」

小さな叫び。
哀嘆な悲鳴。

「閉ジタ、シカイ。
でも、いつも傍にイタのだから。想いはソコにある。」

あのヒトの音のない叫び。

「きっと、辛くなくなるカラ。
声をわかって、あのヒトの声、わかるハズ。」

だってアナタは
あのヒトを、想ッテル。































映るモノ。
閉ざしたココロ。
作る笑顔。

ナンナンダヨ

逃げる。
失くしたモノから逃避。
映るセカイ。
映るシカイ。
映すモノ。
キラキラ灯る。





アイバ・コウジ





「あ…ネーヤ。」

アナタは私を見ル。

「ドウスエレバ…イインダ、」

「ネーヤ?」

「…ドウスレバ…イインダ。」

アナタは私を見ル。
受け止めようと、スル。
辛イのに笑うのは、傷つけるのが恐イ、カラ。
ダカラ、アナタは笑う。
私を見ツメル。

「何か、あったのか?」

「壊ワシタモノ、見放シタモノ。」

「え?何を言っているんだ。」

「何ヲスレバ、イインダ。」

向けられる瞳。
ココロ、哀シム。

「ドウスレバ、イインダ。わからナイ。
教エテ、クレ
傷ツケタクナイ。
痛イのは嫌ダ。
傷ツケルのは嫌ダ。
オレハ、何がシタインダ。
ワカラ、ナイ。
何をしようとシテルンダ。」

「…君は…、」

見ル。
見つめる瞳はアタタカイ。
アナタのココロが伝ワル。

「アナタは何をシタイノ?」

ココロ、ガ哀シム。

「アナタは何をシヨウトシテイルノ?」

「わからないんだ、まだ。ごめん…、」

「ドウシテ、謝るの?」

痛みを知っている。
キラキラ光ル。
小さな明り。
アナタのココロは、ボロボロ。

「ドウシテ、ナンダ?」

「わからない、」

「探シテいるんだね。」

「探し?……ハハ、そうかもね。
君はどうして俺が想ってる事わかっているみたいでな。」

「伝わる、恐イ?キモチワルイ?」

アナタは受け止めるんダネ。
弱かった、ココロ。
小さく
キラキラしてる。

「平気ダヨ。」

もう、アナタは知っている。

「何がシタイカ、わかるヨ。」

畏れを失クス。
前へ進ム。

「アナタの映すモノ
キラキラしてて、不思議な彩シテル。」

声のない求める声タチ。

「大丈夫だよ、」

「……ありがとう、ダメだな…泣き言云ってごめん。」

「大丈夫、平気ダヨ、」

傷ツケル痛みを知っているカラ。
優シイ、コウジ。
きっと、大丈夫。


























「痛いのは嫌ダヨ、ミンナ、痛クナルのは嫌ダヨ。」

――根本的な解決になってねぇよ!

――システムに反している

捻じ曲げられた。

「あのヒト、傷ツクのはイヤ、嫌ダヨ。」

冷たい。

「アナタ、傷ツクのイヤ、嫌ダヨ。」

――いまさら、いまさら、いまさらっ!!

「ヤメテ、ヤメテ!ヤメテ!!!」

――昂治ぃぃーーーーーー!!!!!

冷たい鉄の、

「ユルサナイ…」

横たわる黒い流レ。

「ユルサナイ、」



パシュッ


ニードルガン



血の色に染マル。

「許サナイ!」

怒り、憎シミ。

「これが…これが…ソウナンダネ。」





























「伝えたい事が、あるんです。」

痛イ。
恐い。
デモ、
アナタは進ム。
知っているカラ。
行ってあげて、そして助ケテアゲテ。
求メル手を
アナタは掴んだまま、眠りにつく。


呼ぶ声。
アナタは応エナイ。


























目覚める夢、
私の知ラナイ永遠のユメ。

行カナイデ

このキミチはナニ?

教エテ

「コウジ、」

アナタに教エテ、ホシイ

「コウジ…、」

夢から醒メテ

「アイバ・コウジ……、」

「………っ…ん、んん…ネーヤ……、」

「コウジ、痛イ?痛イ?痛イ?」

あたたかい手

「どうして、ここにいるんだ?…ネーヤ、俺は……、」



「あれ?リヴァイアスに乗ってたよな…、」

白いセカイ。
真っ白なアナタの世界。

「どうして…ネーヤ、解るか?」

私ガ残ル。
アナタのセカイ。

「…うわっ!何だ、この傷!!どこでケガしたんだろ…、」

私ガ残ル。
私、タダ一人
アナタのセカイに残る。

「二つあるし…、」

肩の傷アト、アナタの証。

「ネーヤ?」

「…ネーヤ、教エテホシイコト。
話シタイコト、たくさん…たくさん…あるヨ。」

私は真実を言わない
私は偽りを告げない

「…そうだね、ネーヤ。話しっよか。」

アナタは笑う





















目覚めた夢に醒めぬまま――







(続)
ネーヤ×昴治でイクミか祐希かという分岐を果たす
SSでございます。
この草稿なるものを最近、発見。
高校、英語プリントの裏に……(爆)

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