***神風メイド鬼憚***

第序録:紅白椿、舞う












鬼とは狂い醜き姿にて本能に蠢く者なり。
神とは清き姿にて万全なる力を持つ者なり。
人とは愚かな救いを求める罪深き者なり。

神は鬼を見放し
鬼が人を喰らい
人は鬼を狩る――そんな時代














広大な庭には散る事のない壱年櫻が咲き誇る。
池は青に煌き、錦鯉が泳ぐ。
何処か異国情緒の和館が中央に立っていた。
奥の日当たりのよい角部屋。
飾り障子は仄かに朝陽を部屋へと注がせていた。
そのほんの少しの光に気づき、寝相がよく寝ていた青年が瞳を開く。

(朝……今は…?)

栗色の絹髪を掬い、壁にかけられている螺子式時計を見た。
時間は朝の6時。

(仕度しないと、)

布団から青年は起き出した。
部屋の中は綺麗に整頓され、壁に洋織物が飾られている。
伸びをして青年は押入れをあけた。
彼の名は相葉昂治。
愛くるしい顔の持ち主はこの館の主だった。
昂治が着替えようとした時、障子が開く。

「おっはよーーございまーーーすぅぅーーー!!」

元気で能天気な声と共に青年が入ってきた。
着替えをしようと上着を脱いだ昂治は呆然と相手を見る。

「いやー着替え中でした?にゃにゃーんな感じでお手伝いしますよv」

そそっと寄ってくる。
彼は一応普通の青年である。
尾瀬イクミ。
それが彼の名だ。昂治と同じ年で綺麗な顔をしている。
察しがつくだろう、彼は使用人の一人である。
普通の青年なのだが、些か服装が普通ではなかった。
赫の入った黒絹の膝丈ぐらいのスカートに白地エプロンワンピース。
所謂、メイド服である。
灰色の髪には白のカチューシャ、耳上ぐらい白椿の髪飾りをしていた。
男なのに、女装しているのは先代の趣向と仕来りの所為である。

「……あのさ、何時も云ってるけど…別にそれ着なくても……」

あくまで、その趣向と仕来りは先代の館主の考えであって
今現在の館主は昂治である。
昂治は極めて常識人で、そんな姿をしなくていいと言っていた。

「あーでも昔からこれでしたし。やっぱ歴史は守るべきだと思いますよ。
動きずらいけど、そこそこ着心地いい方ですし。」

「あ…そう?」

「はいvではでは着替えのお手伝いでもいたしましょうv」

近寄ってきたイクミは昂治が持っている服を持とうとした。
それを胸元に寄せて昂治は拒否する。

「いいよ、子供じゃないんだからさ。」

「でもやっぱ昂治さまのお手伝いはせねば!」

「別にいいよ…つーかさ、何でそんなに楽しそうなわけ?」

「えー気のせいですぅv」

離れようとした昂治が、体勢を崩し後ろへと倒れそうになった。

「昂治さまっ!!」

イクミは手を伸ばし、昂治の身体を引き寄せて倒れないように抱きしめる。
ふぅっとイクミは安堵の息を漏らした。

「……悪い、」

「大丈夫ですか?ちょいと揶揄いすぎましたね、」

胸に顔をうずめる形になっていた昂治は顔を上げた。
そこには心配そうに見ているイクミの真摯な表情がある。

(う゛……)

綺麗な顔立ちは男女関係なしにドキドキさせるものだ。
昂治は頬を染めて相手を見る。
どうしていいものかと悩んでいるようだ。
相手の変化に気づいたイクミはニッコリと微笑む。

「……昂治さま…」

「あ…えっと……」

「失礼しますね、」

顔がゆっくり近づいてくる。
誘われるように昂治はぎゅっと瞳を閉じた。
アバンチュール?
と思うかもしれないが、そうも問屋は卸さなかった。

ドドドドドドドッ!

板の縁側伝いの廊下を走る音。
そして壊れそうなくらい強く障子が開いた。

「っざけんなーーーーーーーーーー!!!!」

コンマ0.1秒。
後ろで黒髪を縛っている青年は入るなり、イクミの首根を掴み外へ放り投げた。
息を荒げてイクミを飛ばした方を見ている彼は相葉祐希。
名から察すれるだろう、祐希は昂治の弟である。
秀麗な顔つきは昂治に似て似つかないものだった。
しかも身長は昂治より高い。
訳あって使用人をしている彼はイクミと同じメイド服を着ていた。
ただ違うのは白ではなく紅椿の髪飾りをしている。
右手に持っている紫布地に包まれた5尺の棒状の物。
それを昂治を指差すように向けた。

「アンタも油売ってんじゃねぇ!!!このバカが!!」

「なっ!!」

ほとんど、いや9割はイクミの所為である。
乱暴な物言いに昂治は頬を膨らました。
ふんっと鼻を鳴らし、そのままドタドタと去っていく。
部屋は祐希が飛び込んできたお陰でめちゃくちゃだ。
叱られる必要もないのに叱られ、挙句の果てには部屋はこの有様。

「なんなんだよ!!!もうっ!!!!」

昂治はバンッと壁を叩いた。












「はにゃーー……、」

首を擦りながらイクミは唸った。

「どうしたの?筋肉痛かしら?」

茶色髪で清楚な少女がイクミを覗きながら聞いた。
紺色のメイド服を着ている彼女の名はファイナ・S・篠崎。
この屋敷の代々メイド長をしている血族の娘だ。
必然的に現在のメイド長になっていた。

「あーー野蛮人に飛ばされまして、着地はしたものの
枯山水の岩に頭を激突しちまったのですですー。」

「流血しなくて良かったわね、」

そう言ってうふふと笑う。
場所は居間である。
朝食の準備をしている風景であった。

「あはは、そうですねー。
まったく野蛮な方はお困りますですー。」

「朝から“ご主人様”を襲ってる変態も困りもんだな、」

「えーー何の話でしょー??」

相変わらず紫布地に包まれた棒状の物を腰に差した祐希が
居間に入ってきた。

「あら、遅かったわね。」

「……」

ファイナを無視し、祐希は部屋の隅に立った。

「まぁいいけれど…尾瀬君、その話本当なの?」

「え、ええ?あははーー気のせいですよー空耳v」

苦笑いを浮かべてイクミは誤魔化した。
そう会話している内にYシャツに黒に藍の入ったズボンという
高校指定の服を着た昂治が現れた。

「おはようございます、」

まず初めに挨拶をしたのはファイナだった。

「あ…おはよう、ファイナ。」

部屋に入ってきた時はぶすーっとした顔をしていたのだが、
すぐに微笑みを浮かべる。

「へらへら笑ってんじゃねぇよ、この遅刻だぜ。」

「へらへらって…おまえな!!」

「……祐希君…、」

ぼそっとファイナが微笑みながら言う。
ビクっと祐希は肩を震わした。

「あははー、まぁ早く朝食を食べちゃいましょー。」

話題転換するようにイクミは云った。
















登校の際、注目されずに済むようになったのは
つい最近の事だった。
館主であるけれど、そんなに自分は価値あると思っていない昂治は
出来る事は自分でやるというのが主義だった。
本当は登校時は車で送るはずだったのだが、昂治は拒否。
代わりにメイド姿の祐希とイクミがついて歩く事を条件として
昂治は自分の足で登校する事を許可してもらった。
なのでメイド姿の青年を引き連れている様子は大変目立っていた。
最初は恥ずかしくて仕方なかった昂治は今では、
会話しながら歩くほどに耐性ができている。

「今日、テストなんだよね。」

「へぇ、そうなんですかー。やっぱ難しいですか?」

「うん、でも頑張らないと。」

「60点くらいだな、」

少し後ろを歩いている祐希が言った。
坂になっている為、見下ろすように昂治は弟を見る。
石畳の路はイクミと祐希のブーツ音を良く響かせていた。

「なんだよ、その言い方!」

「別に、」

「まぁまぁ、喧嘩はよしましょーね。」

ふいっと祐希は睨む昂治の視線から逸らす。
横は石積みの塀になっており、緑の蔦が彩っていた。

「…っ!」

棒状の物をぎゅっと掴み、祐希は仰ぎながら周りを見た。

「ど、どうしたんだ?」

「……」

イクミを見て祐希は昂治を見た。

「何でもねぇ、トロく歩いてんじゃねぇよ。」

「なんだと!!」

「じゃあ早く走ってください、こ・う・じ・サ・マ。、」

むーーっと祐希を睨んで踵を返し、昂治は走り出した。
イクミはふぅっと溜息をつく。

「素直じゃないねぇ…ホントの事言えばいいのに、」

「言ってどうすんだよ、早くてめぇも行けよ。」

「……弁解しておこうか?」

「結構、」

肩をひょいっと上げて、イクミは祐希に背を向ける。
そして走り出した。

「待ってくださーーい!!昂治さまーーー!!!」

ひらひらとスカートを揺らしてイクミは昂治の後を追った。
その後姿を見て、祐希は周りを見渡す。
腰に差していた棒状の物を手で抜き取った。
それを地に突き刺すように棒状の物を鳴らす。
ぶわっと何かが広がり、近くの木々に羽根を休めていた鳥たちが
ざわめきながら飛び立った。
















(なんだよ!!なんなんだよーーーー!!!)

ズカズカと昂治は走っていた。
坂ではなく、辻道が多い路地に出ている。

(確かに俺はトロいかもしんないけどさ!はっきり言わなくてもいいじゃないか!)

やはり石畳の路地は靴音を響かせた。

(昔は可愛かったのにな……やっぱり…主従関係だからか……?)

小さい頃は普通に遊んだりしていた。
その時が酷く懐かしい。
今でも変わらないイクミでも、敬語を使うようになったし、昂治の安全が最優先となっている。
それはとても昂治に影を落させた。
先代の急な死で館主となった自分。
威厳はないにしろ、権力は仮に持っている。
解雇しようとした。
そして普通の弟と友人としての関係になりたかった。

「……」

昂治は瞳を伏せた。
瞳を伏せた先に黒い子猫が目につく。
後ろ足をびっこ引きながら歩いた。

(怪我…してる?)

トタトタと横の辻道を子猫は入っていく。

「待って!」

どうやら怪我をしているらしい子猫を昂治は追いかけた。




















赤煉瓦に黒格子の門をくぐれば、昂治の通っている高校内となる。
駆け出していく生徒を見ながらイクミは目を顰めた。

「昂治さま……」

辻道を入っていったなど気づかず、イクミは先に高校に来てしまったのだ。
当たり前だが昂治がいるわけがない。

「あれ、イクミ君じゃない?」

「あーーーいくみぃぃーーーー!!!」

「ちょっとこずえ!」

昂治を探しているイクミに飛びつくように二つに縛っている少女が抱きつく。
青の変わったショート髪の少女と金髪で皓のバンダナでまとめている少女が
その後につづく。
和泉こずえ、蓬仙あおい、そしてカレン・ルシオラである。
カレン以外は昂治と同じクラスだ。

「あー、えっとこずえさん。」

「おはよう、いくみvあれーー?相葉君は?」

しがみついているこずえを引き離してじっと見つめる。

「あの、あの、昂治さま…登校してらっしゃらないですか?」

ふるふると左右にこずえは首を振った。
唇を噛み締め、イクミは周りを見渡す。
カレンは眉をひそめながら、イクミに近づいた。

「一緒に登校しなかったの?」

「したんですが……」

「祐希は……あ、来た。」

カレンは走ってきた祐希を迎える。

「祐希、おはよう!」

「……ああ、」

「ああ、じゃないよ!ちゃんと挨拶!!!」

あおいが横から入り、説教しはじめた。
息をつき祐希はイクミを見る。
イクミは俯き、何やらブツブツと呟いているようだった。

「…こうじサマと、はぐれたか、」

「もしかして、今巷で賑せてる“鬼”とかいう化け物に誘拐とか??」

こずえが今日見た新聞の事を言った。
彼女としては会話の延長線上である。

「おい、変な事言うんじゃねぇ!!!」

続けて何か言おうとするこずえの口を祐希は手で塞いだ。
だが既に事は遅し。
イクミのゆらゆらとスカートと髪が揺れ出す。

「むぐーーー!!」

「余計な事言いやがって…」

「あーー、また?」

あおいはこずえをぶん取って、後ろに下がる。

「またみたいですね、あおいさん。」

揺れ出した髪は跳ね、目つきが些か据わった表情にイクミがなった。
そしておもむろにスカートをあげる。
黒のパンストはガーターベルトで止められていた。
太股あたりに皮のベルトでついていたのはマシンガン。
それを取ってイクミは構えた。

「「ブラック登場!」」

あおいとカレンは声をはもらしていった。
目の前のイクミは些か正気ではない。
昂治関連で心配がある限度を越えるとこうなる。

「昂治さまを何処にやったーーーー!!!!!!」

マシンガンを乱射。
こうなると見境がなくなり、手に負えなくなる。
祐希は舌打ちをして、カレンを見た。
その視線に気づき、カレンは首を傾げて相手の言葉を待つ。

「アイツを連れて来い!その辺でうろついてる。」

「わかった、」

カレンが走り去ったのを見て、祐希はイクミを睨む。
手に持っていた棒状の布地を取った。
日本刀。
正しくそれだった。
祐希は鞘ごと腰に差して柄に掌をするように置く。

「この本能野郎が、」

物陰に隠れているあおいとこずえが二人を見守っていた。

「もしかして…あの刀で対抗するつもりなのかな?」

「あーー、多分そうじゃない?」

「でもーーブラックなイクミもカッコイイv」

引き金であるこずえはウットリとした表情でイクミを見ている。
あおいは逆にゲッソリしていた。
あんなマシンガンを乱射していたら必ず被害者は出そうである。

「敵、敵…消すのみ!」

ダダダダダッ

撃ってくる銃弾を避け、剣の柄を握る。
抜刀、

「旋、下段!」

刃は弧を描き、一陣の風が切り裂くように発生した。
撃たれた銃弾がバラバラと地に落ちる。

「「うっそー!」」

相殺という事だ。
あおいとこずえは驚く。
そのまま祐希は構えて、剣を振り落とす。

「旋、上段!!」

真空の波動がイクミをひるませる。
その隙に体勢を低くして祐希は懐に駆け込んだ。
イクミの目の前で跳躍し、

「昇・龍・閃・殺っっ!!」

剣を振り落とす。
このままではイクミは真っ二つだ。
こずえは叫び、あおいは目を覆う。

パシッ!

「くっ!!」

祐希の声が聞こえる。刀は見事イクミが手で押さえていた。
これぞ真剣白刃取り。
ぐぐっと剣を横へやり、イクミは祐希の腹を蹴り上げた。
赫の入った黒いスカートが揺らめかせ、宙で体勢を直す。

「このブラックが、」

イクミはマシンガンをポイ捨てし、腕を顔の前で交差させる。
ばっと下ろすと、細い手に鋭利な鉄爪――バグナグが装着されていた。
そしてイクミは息を吐きながら構える。
祐希もじりじりと間合いを取りながら構えた。
今、正に血に塗られるだろう決闘が始まりそうだった時である。

「おまえら、何してんだ?」

のほほーんと現れたのは昂治である。隣りには息を切らしたカレンがいる。
腕に子猫を抱えていた。

「あ、危ない!!」

「お兄さん!!」

思わず叫んだのはあおいとカレンだ。
だが事は予想を遥かに上回っていたようである。

「はにゃあーーーーー!!!こうじぃぃぃーーーさまぁぁぁぁぁーーーー!」

マッハを越えるかの速さでイクミは昂治に抱きつく。
手についていたバグナグは何処へか?
抱きついたイクミは顔を上げ、ぼろぼろと泣き出す。

「うにゅーーー!!!何処行ってたですかーーー!!!
心配したんですよーーーー!!!!イクミは、もう死んじゃうかと思ったです!」

「何処行ってたって…鼻水たらすなよ、もうっ……」

二重人格とも感じさせる。
泣くイクミの頭を昂治は撫でた。

「大丈夫、俺は此処にいるし。そんなに過保護にしなくてもさ。」

「……昂治さまぁ……」

甘い雰囲気が流れる。
だが、それを壊すかの如くイクミの首根を祐希は掴んだ。

「うざい、遅刻する。」

「ぐぇぇえええーーー…く、苦し…ぃ、」

そのままズルズルとイクミを引き摺って祐希は歩き出した。
昂治は子猫を抱えたまま、その後を追う。
呆然とあおいとこずえは立ち尽くしていた。

「私達も行きましょう、」

カレンが提案し、あおいとこずえはコクンと頷いた。














ツカツカとイクミの首根を掴んだまま祐希は校舎内へ入っていく。
校内も何処か異国を思わせる造りだった。

「おい!止めろよ!!首が絞まってるぞ!!」

後を追う昂治が指摘した。
確かに座った体勢で引き摺っているのでイクミの首は絞まってるだろう。
昂治の言葉に祐希が返したのは冷たいものだ。

「主君の命令でも聞けねぇな、少しは反省した方がいいんだよ。」

「反省???」

祐希の言葉に昂治は首を傾げる。
引き摺られているイクミは見れば、えへへと苦笑いをしていた。
どうやらブラック時の記憶は残っているようだ。
事の真相の知らない昂治は訝しむばかりである。

「にしても、何だ。その汚ねぇ猫。」

「汚いはないだろ!」

子猫を抱きしめながら昂治は怒鳴った。

「怪我してるんだぞ。」

ふんっと祐希は鼻を鳴らす。
持っていた日本刀を腰に差して、エプロンのポケットに手をつっこむ。
そして和布で装飾された蛤の入れ物が出される。
それを昂治に投げ渡した。

「これは???」

祐希は答えず、そのまま歩いて行く。
立ち止まった昂治はその装飾された蛤を開けた。
中には白い塗り薬が入っている。

(傷薬……だ、)

前を歩く祐希を見た。
自然に笑みが昂治から零れる。
とても暖かいモノが満たしていくような感覚を昂治は感じた。
だがすぐに昂治の笑顔は凍てつく。

「おい!!!銃刀法違反!!!」

ごもっともな指摘が校内に響いたのだった。

















櫻は散りつつ咲き零れる。

「紅白椿よ……」

蜜月に黒い雲が覆う。
第52代目の主君は横に座っている紅椿と白椿の髪飾りをした
二人の青年はそれを見守っている。
一人は悲しげに。
一人は感情を消して。

「気高く、華麗に舞うのだ……」

白い糸のような物が主君の身を取り巻いていく。

「主の為に。」

二人は見守る。
白い糸は主君の肌を喰うように絡み付いていった。

ブシュッ

切り裂かれる音が響き、主君の声が途絶える。

「「御命のままに…」」

二人は声を合わせて言った。
蜜月が姿を現す。
月光は部屋内静かにを照らした。
主君が寝ていた布団には白い糸が一束しか残っていない。
あとは鉄臭い匂いが部屋に充満していた。







第52代目、主君失踪。

第53代目、館主――相葉昂治に継承。





相葉昂治はまだ何も知らなかった。













(続)
メイド好きです…断言しておきます。
もう誤魔化せませんので。

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