…++Last monn++…
―di mite alba lunar―
ほのかに宿る
冷たき刻
熱き体に秘める
満ちていくソレは
白い月
ひどい頭痛で目を覚ます。
軽く舌打ちをして、祐希は身体を起こした。
いつもと同じ日常。
それがはじまる。
一日のほとんどはリフト艦ですごす。
普通に過ぎる時は、今日は違っていた。
苛立ちが支配する。
理解できない苛立ちが体を占領していく。
それは耐え難く蝕んでいくようで、
メンテ作業も思うように進んではくれない。
「2番じゃなくて、3番よ、」
隣りにいるカレンが間違いを指摘する。
軽く頷き、祐希はその間違いを修正する。
そんな事の繰り返しだった。
原因は
――何で、いやがる…
こうじがいる事だ。
相手にとっては、失敗や苛立ちの責任転嫁は
失礼なものだろう。
だが、そう思わずにいられなかった。
ネーヤと共にいる姿は何ら問題などないハズだ。
なのに、変な違和感も感じられる。
オカシイ
オカシイ
祐希は目を伏せた。
「どうしたの?寝不足?」
「何でもねぇよ…」
カレンは中途な相槌をし、じっと祐希を見た。
「なんだ、」
「あのスフィクスが気になるの?」
「は、何言ってやがる。」
カレンの言葉に密かな動揺が生じる。
顔には出なかったが。
「私は気になるな、」
珍しい返しに祐希は目を顰めた。
続けてカレンは言う。
「だって、点検とか整備でしょ?
スフィクスてメインエンジンみたいなものだもの
必要だと思うのよ…ほらネーヤさんだって
点検とかやる時、必要としてるじゃない。」
こうじに目をやり、そして祐希に目を向ける。
「政府のデータ―を見てみたけど、全部しっかり
プロテクトされてるしね…
中身は大した事なかったけど。」
「見れたのか?」
「知りたい?」
「教えろ、」
唇に笑みを浮かべ、カレンは祐希を覗き見た。
「でも気にならないじゃ、教えても意味ないよ。」
「…っ…」
誘導尋問か、気になっている事となる。
祐希は言葉を詰まらせ、カレンから目を逸らした。
「ま、これくらいにしておいて。
……あのスフィクス、人の知識がちゃんとあるみたい。
言葉がしっかりしている方が何よりの証拠だって。
出生も不明みたいだし…ね。」
祐希から視線を逸らし、カレンは上を仰いだ。
舌打ちをして、止めていた作業を祐希は再開した。
「ふぅ…今日は失敗が多かったっすねぇ。」
半分揶揄いが入っている口調でイクミは言った。
祐希は無視して操縦席から降りた。
メンテ作業も終わり、あとは自由時間となる。
「無視ですか…嫌われちゃいますよ。」
「黙れ、」
ひょいっと肩を上げ、イクミから視線をずらす。
「それにしても、人気者ですねぇ。」
イクミの視線の先には人に囲まれている
こうじの姿があった。
「これじゃあ、ゆっくりお話もできないな。」
「あんなのと話してどうする。」
――苛つくだけだ。
祐希が歩きだすと、イクミもついていくように歩きだす。
「中々かわいいですよー。」
「変態かよ、てめぇは」
「こうじ君となら変態になってもかまわないかも。」
軽い調子だったイクミが不意に真摯な瞳になった。
祐希は少し意識を相手に向ける。
「前に言ったかな。
初めて…会った気がしないんだ。
祐希もそう思わないか?」
「思わねぇよ。」
「じゃあ、何でイライラしてんの。
カルシウム不足ですかー?」
ギロっと睨む。
それも軽くイクミは交わして人の良い笑顔になった。
「どっちにしろ好みだなぁって話v」
「アホか。」
「アホだもん。」
「祐希、これ資料忘れてるよ。」
カレンが後ろから駆け寄り、数枚のデータ―チップを
手渡しする。
「あっちゃー、また目を通せってヤツですか?」
「そうみたい。でも内容は興味が注がれるわ。」
受け取ったデータ―チップを祐希はバラバラと
下へばら撒いてしまった。
「何やってんですかー祐希クン。」
「大丈夫?」
イクミとカレンが屈み、そのばら撒いたチップを
拾い集める。祐希も拾おうとした時、別の白い手が
目に入った。
「……」
こうじの手だった。
視線が会い、そして揺らめきが映る。
「ダイジョウブ?」
無機質な感じの声。
それが無償に苛ついた。
ゆっくりと祐希は立ち上がり、差し出される手を見る。
ムカツクンダヨ
見るや否や、祐希はこうじを突き飛ばしていた。
周りから息を呑む音が聞こえる。
バタンッ
こうじは尻をつき、痛そうに顔を少し顰める。
「おい、何やってるんだよ!」
イクミはすぐに尻をついたこうじに、手を差し伸べた。
相手はじっと祐希を見たままだ。
見ルナ
見ナイデ
ワタシダケヲ見テ
「っ!?」
そして急激に頭痛が襲う。
こめかみを押さえ、それでも尚こうじを睨んだ。
意味さえも分からない憎悪に似た感情が浮かぶ。
「祐希、顔色悪いわよ。」
もしカレンが肩に手をやっていなければ
目の前でイクミの手を借り立ち上がったこうじを
殴っていただろう。
そう確信していた。
今日も昨日と同じ、祐希はすぐに部屋に戻っていた。
ベットに横たわり、少し体をうずくませる。
気分は最悪だった。
苛立ちが嫌悪が憎悪が…感情ががない混ぜになって
自分を混乱させている。
アナタハダレ?
ズキンと頭が痛む。
祐希は目を瞑った。
眠ってしまえば、この痛みもなくなるだろう。
そう思い眠りにつこうとした時だ。
ピンポーン
呼び出し音が鳴った。
祐希は跳び起きて、ドアに寄った。
鍵を開け、ドアがシュンっと音を立てて開く。
「あ、寝てた?」
カレンだった。
感情が急に引いていくような気を感じる。
「あおいさんがね、心配してたよ。
中…入っていい?」
「…ああ、」
カレンを部屋に入れる。
少し散らかった部屋を見渡し、カレンはベット上に座った。
「ここに来た理由はね、3つあるの。
1つはね、面白い情報がゲットできたら教えに。」
「おもしろい?」
祐希はカレンから少し離れて座った。
「例のスフィクスの事なんだけど…どうする?」
ふっと苛立ちが沸く。
けれどそれより先に口が動いていた。
「教えろ、」
「ふふ、素直ね。
えっとね、ヘイガーが調べた事なんだけど
どうやらスフィクス――こうじ君は私たちの事を
よく認識してるみたい。
スフィクスって大抵、どんな人でも大差なく接する
ものらしいのよ。なのに、あのこうじ君は人によって
接し方をすごく変えてるみたい。」
カレンがニコっと笑う。
「ちゃんと話してみたら?
案外、おもしろい発見あるかも」
「おまえはしたのかよ。」
「うーん、ついさっきね。
話って言っても少ししかしてないけど。」
ガサゴソとカレンがポケットの中を探る。
そして缶を取り出した。
「来た理由その2。
何があったか知らないけど。
気分は紛れるんじゃない?」
差し出されたのはお酒のようだった。
祐希はカレンとその缶を見比べる。
「飲めないの?」
揶揄うような口調に祐希は強引に缶を取った。
蓋を開け、中身を飲み干す。
すぐに胸の辺りが熱くなった。
普段ほとんど付き合いなどしない。
したとしても、イクミやあおい、カレンなどが
無理矢理つれていく事が多かった。
だからお酒だってあまり飲まない。
酔いがすぐに回るのは普通の事かもしれない。
「祐希、」
呼びかけに顔を向ける。
ほんのり頬が赤い。
「思ってる事、溜め込んでると大変よ。
まぁ、吐き出すのも色々あるけど。」
「おい、」
「何?」
少女の笑みを浮かべ、カレンは首をかしげた。
「理由、3つあるんだろ。」
「最後の1つね。何だと思う?」
カレンがすっと祐希に寄った。
軽く微笑んだカレンはキレイだった。
酔いが後押しをして、カレンに惹きこまれるような
感覚を覚える。
けれど…
「わからねぇ…」
その感情に自我が占領される事はなかった。
「それは残念。」
祐希の返しにカレンはあっさりとした態度で返した。
ベットから立ち上がって、カレンはドアに向かう。
「ふぅ、酔わせて既成事実を作っちゃおうかなって
思ったんだけどなー。」
「カレン、」
「冗談よ。ほろ酔い気分のまま寝るといいわ。
嫌な事も少しは忘れられるから。
明日、ゆっくりその事を考えればいいしね。」
ウィンクをして、カレンは外に出た。
「おやすみ、祐希。」
そしてドアが閉まった。
暫く閉じたドアを見ていた。
カレンが自分に想いを寄せている。
それはどれほどの物かは解らないけれど
少しは理解している。
きっとあのままカレンがココにいれば、
抱いていたかもしれない。
――キモチワルィ…
それはカレンにでなく、自分に対してで。
祐希は空になった缶をゴミ箱にいれた。
そしてベットにバサッと仰向けになる。
頭痛がない今なら、深い眠りにつけるかもしれない。
祐希は目を閉じた。
眠っていなかったのかもしれない。
密かな話し声に意識だけが冴える。
「…話さないノ?」
あどけない少女の声がする。
――ネーヤ…
このリヴァイアスのスフィクスだ。
何故ここにいるのだろうか。
祐希は思索した。
「いいんだ…それで。」
ふっと落ち着いた声がした。
ひどく耳が慣れている声だった。
「こうじ…」
――こうじ、
苛立ちが浮かばなかった。
逆に落ち着いてくのが解る。
「大丈夫だから…ネーヤは眠っていいよ。」
「デモ…ワタシ…」
「大丈夫だって、」
「……」
気配が消える。
ネーヤがいなくなったようだった。
そして近づいてくる感覚。
ふわっと額を触れられた。
「っ!?」
バシンッ
触れられた瞬間、何かが爆発したように祐希は
触れてきたその手を叩き払っていた。
そして警戒するように体を起こす。
「っ……」
こうじは驚いているようだった。
何か言おうと瞬間、嘔吐感が体を蝕む。
祐希は口を押さえて、備え付けのトイレに駆け込んだ。
酔いからだろうか。
それ以外からの嘔吐感だと祐希は思った。
「ごほっ…がはっ…」
吐くものなどない所為か、痛みが伴った。
苦しい。
すっと背中に何かが触れられる。
それはこうじの手で、背中を吐き気を和らげるように
擦ってきた。焦りに似た憤怒と苛立ちが心内で
ひしめき合うのだが、嘔吐の所為もあり何も言えない。
それどころか、逆にそういう負の感情が消えていく
のが、感じられた。
「はぁ…はぁ…」
やっと治まり、祐希は立ち上がろうとするのだが、
フラつき尻をついてしまった。
背中を擦っていた手が、祐希の腕を持つ。
そのままこうじは軽々と祐希を持ち上げてしまった。
「っ!?」
そんな細身で。
そう思った矢先、この前の者はスフィクスだと思い出す。
祐希はそのままベットに連れて行かれ、座らされる。
「……大丈夫?」
感情が希薄にも思える声。
消えたハズの苛立ちが浮かび上がる。
触れようとした手が、とても汚らわしいモノに思えて
祐希は叩き払う。
「触るな!!」
言えば収まるハズの感情は逆に溢れ出してくる。
向けられる瞳の揺れが胸を痛めた。
――なんだんだよっ
それは殴りたい衝動になり、
こうじの胸元を掴んで拳を上げた。
イヤダ
ドウシテ
ココニイルノニ
殴れず、祐希はフラついてベットに倒れこんだ。
密かな弾力と冷たい感触。
ゆっくり祐希は身体を起こす。
下にはこうじがいた。
見上げてくる瞳は何かを待っているようで
何かを拒否しているようで
そして小さな恐怖を感じ取られて。
思えば
このこうじに会った時
何故、哀しくもないのに涙が出たのか。
「……」
引き寄せられるように祐希は口づけていた。
小さく柔らかい唇を割り、舌を口腔に入れる。
心臓が跳ね、痛みの中、目眩さえ感じられた。
けれど、おだやかな感情は相手の反応に
打ち消された。
絡む舌はその行為を知っている。
震える体はその悦楽を知っている。
――…慣れてやがる…
底知れぬ怒りが込み上げてきた。
こうじに対して憤怒を感じる必要などない。
唇を離すと、唾液の糸が引き切れる。
うっとりとしたような表情でこうじが見ていた。
「…こういう事…したコトあんのかよ、」
それは問いだす口調。
ワカラナイ。
――ムカツク
「……」
目が伏せられる。
こうじは何も云わない。
それは肯定だと祐希は受け取った。
密かな喪失感が広がる。
山吹のイプロマーターにはほぼ成人の者しか
いないハズだ。
という事はその者たちと…
「…ユウキ…」
胸が痛い。
祐希は相手を睨んだ。
それは憤怒と憎悪、そして軽蔑。
どうしようもないやり切れなさが混じっていた。
こうじの瞳が揺れて、閉じられる。
祐希は起き上がって、ベットに横たわるこうじを見下ろす。
引キ裂イテヤル
何モカモ
「…脱げよ、」
目がパチっと開かれた。
驚愕と歓喜のような瞳の揺らめきに祐希は目を顰める。
ひどく知っている。
この感覚を。
「科学者とそういう事してたんだろ、アンタは。」
「……」
こうじは目を瞑った。
そしてゆっくり左手を上げ、横に小さく振る。
拘束具のような黒い服が、帯状になって解けていく。
少年の体だ。
頭に被っているターバンのような帽子がとられると
もう普通のヒトだった。
「っ…」
息を呑み、祐希は覆いかぶさった。
誘われるように唇にかぶりつく。
「ん…」
漏れる声に懐かしさを感じた。
人など他人など抱いた事ないハズなのに。
それより抱く事が触れる事に嫌悪さえ覚えていたのに。
知ってる
知ってる
――どうして?
映る右肩は腐蝕しているように黒い。
頭痛と胸の痛みがひどくなった。
痛みは自分を責めている。
「…はぁ…ん、」
唇を離し、首筋を辿る。
誰かに抱かれたと思われる体は
キレイすぎると感じた。
「っ…あ…」
冷たい肌に触れ、胸を撫でた。
ココヲ、コウ触レレバ
「ひゃぁ!」
こうじの体が跳ねた。
何処をどう触れれば悦いのか。
手にとるように解った。
わき腹を擦りながら、乳首を口に含んだ。
痙攣しだす体。
小さな躯。
「ん、あ…あっ…」
顔を上げ、こうじを見てみれば
困ったような切なげな表情だった。
「あ…やっ!?」
スフィクスでも反応を示すのだと客観的に思う。
握ったこうじのモノは片手で収まり、猛っていた。
逃げるように相手が上へ上へと動く。
それを押さえて、握ったモノを扱きはじめた。
「はぁ、やっ…ああ、あっあ!」
祐希の瞳が凶器に煌く。
「ふぅ…あ、だ、ダメ!?」
太股を掴み、先走りを見せるモノを祐希は口に含んだ。
嫌悪はなく、逆に何かを満たしていく。
口では嫌がっているものの、身じろぐ体は誘っているようだ。
「あ、やだっ…あ、んあ、あぁあ」
口腔から出し、筋をなぞって先端を舐める。
トロリと出てきた白濁の液は少し苦い。
――どうして?
絶えず漏れる喘ぎは甘く。
他人の精液など口にする事に嫌悪はなく。
まるで当たり前のような錯覚を覚え。
祐希は混乱しながらも、快楽を追っていく。
キモチイイ
溶ケタイ
アナタニ
前ミタイニ
――……
太股が自分の顔をはさむ。
柔らかく心地がいい。
祐希の髪をこうじは弱く握っている。
「はあ、あっ…で、出ちゃ…」
「……」
吐精するという事だろう。
祐希は根元を押さえ、先端を甘噛みした。
「ひゃああーー!!」
腰が浮き、体が跳ねる。
自分の手馴れた焦らしに、祐希は目を顰めた。
こういう行為の知識はあるが
した事はないハズだ。
「はぁ、はな…し…ふぅっ、くぅっ!!」
根元を掴んだまま、祐希は奥へ舌を移動させる。
薄い肌を辿り、秘部に舌を入れた。
体が震える。
「い、いやぁあ!!」
嫌がっているのは解るが、穴に入れた舌はきゅっと
締め付けられていた。
空いている手を添え、ヒダを引っ掻きながら唾液を
奥へ奥へと送っていく。
「んぅ、はあう、し…舌、いや…だっ…あぅ!」
ピクピクと反応する。
内部の熱さに歓喜を感じた。
ずちゅ、くちゅ
粘着質な音がする。
音が出ないようにもできたが、あえて音が出るように
舌を使った。舌と共に指を入れる。
「ふあっ!?」
モノの根元を掴んでいる手に何か冷たい感覚が伝わる。
こうじの白濁の液が零れ、自分の手を塗らしていた。
「あっ…はがっ!?」
指をかき回すように動かし、ある一点に触れる。
すると狂ったように体が痙攣しだした。
感じる場所なのだろう。
――知ってる…こうやって…
「んぅ、あ…あ!!」
――こうすれば…アンタは…
「やぁああ!!」
声に涙声が混ざる。
直接的な内部の快楽と解放されていないモノ。
舌を穴から抜いて、モノを口に含む。
指はそのまま内部で荒々しく動かした。
ぐちゅ、ずぷっ
「ふあ、ああ!!んぅあ!!やあ、あ!!」
脈打ちを感じた。
口内に迸りの熱が伝わる。
広がる液体は熱く苦味があり、特有の匂いが鼻につく。
けれど
――おいしい…
口端から零れるのさえ、勿体無いと思った。
祐希が喉を鳴らしながら飲み干し、唇を離す。
吐精したばかりのモノが垂れた。
「はぁ…ふぅ…ん、」
穴にいれている指に締め付けを感じる。
その指を引き抜けば、名残惜しそうな声が上がった。
「……」
目を瞑り、息を整えようとしてるこうじを見つめる。
体は慣れているが、それは…
「っ!?」
浮かぶ考えは頭痛を巻き起こす。
それに贖うように、祐希はこうじの腰を持った。
あぐらを組んで自分は座る。
後ろ向きにこうじを抱き上げた。
――軽い…
こうじがおずおずと顔を向けてくる。
瞳から涙が零れ、上気していた。
祐希はファスナーを開け、
飛び出さんばかりに猛ったモノを握った。
興奮している。
汚し、凌駕して、全てを奪う。
「っ…くぅ…」
後ろ向きのまま、自分の膝上に座らすように
モノをこうじの穴へ入れていく。
先端が入っただけで、こうじは苦しそうに鳴く。
胸が痛むのだが、苛立ちとは別の感情が生まれた。
その感情は自分を動かす。
「ひぎゃっ!?」
無理矢理、奥まで捻じ込ませた。
締め付けが痛く、けれどどうしようもない快楽を
味あわせた。後ろから抱きしめ、律動しだす。
「やっああ…ぁ…お、大きぃっ…!!」
確かに見た目の年齢は差ほど変わらないが、
体格には少し差があるかもしれない。
ずちゅ、ぎちゅ
音がする。
いやらしい音が聴覚を刺激する。
「はぁ、ひっ…くぅ…あぁあ!!」
揺さぶられ、悲鳴に似た声を相手は上げる。
ある場所を突けば、その声色は面白いくらいに変わった。
「ひゃぁあ、んっ…大きい…よっ…裂け…ちゃ…」
「キモチイイんだろ、」
「ふぅん…はぁ、ああ…ひぃっ…!」
腰の動きに合わすように、こうじの腰も蠢き始めた。
前へ手を伸ばし、モノを掴む。
ぬらぬらと光って、質量を増していた。
達かせないように手を動かす。
その手をこうじは掴み、止めさせようとしたのだろうか。
だが握り締めるだけで甘い喘ぎを出していた。
「はぁ…」
吐き出す息が熱い。
祐希はモノから手を離し、腰に回す。
「ひっ…あぁあああ!!」
自分のモノを軸に相手をこちらに向かせる。
涙でぐしゃぐしゃの顔が欲を刺激し、
もっとと、自分自身に強請る。
「ふぅあ、あ…ゆ、ゆうき…」
感情のある声に鳥肌が立った。
寒気ではない、
悦楽を越したモノが体を駆け巡った所為だ。
抱きしめ体を揺さぶる。
ずぷっ、
「ひゃあ…あ、あ…ゆ、ゆうき…ゆうきぃ…」
名前を呼ばれるのに、こんなに気持ちいいとは
考えもつかない事で。
体は快楽を受け止めているのだが、
心情は痛みが広がり苦しかった。
ドウシテ
ドウシテ
俺ノ所為ダ…
内なる声が自分を責める。
――何を?
スフィクスをしかも少年で会って間もない者を
犯しているしている事へか。
否
もっと別の――。
「ふあ、ああ…ゆう…き、ゆうき…」
しがみついてくる相手の体を抱き寄せる。
限界が近い。
弱くそれでも強く背中に痛みを感じる。
祐希は相手の顔を見た。
扇情的でどんな者よりキレイだと正直に思う。
そして罪悪感。
「ゆうき…っあ、ああ…ゆうき!!」
狂ったように名を呼ばれる。
何故、このスフィクスは自分の名を
知っているのだろうか。
切ないような、求めるような
そして否定するような声で呼ぶのだろうか。
ずぷぷっ
思いっきり突き上げた。
「ゆう…きっ!…ひゃああ!!」
きゅっと締め付けられ、内部で祐希は欲を吐き出した。
下腹あたりに熱い液状の感触がした。
相手も白濁の液を吐き出したようだ。
「くふぅ…っ…」
凭れかかってくるこうじに
「…っ…」
何か言おうとした。
それは相手への呼びかけ。
こうじを呼ぼうと思ったのだろうか。
だが、
言葉は喉に詰まり音にはならなかった。
残るは熱と痛み
満ちゆく月は
光を発す
苛烈な光は淡く照らしだす
朧に浮かぶ
白い月
変わりゆき映し出された
赤い月を
その狂宴を
「アナタヲ呼ベナイ…」
(続)
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