**小さな子供







お兄ちゃん好き。

すごく好き。

けれど、

お兄ちゃんの一番じゃない。

「僕」が「俺」になって

「お兄ちゃん」が「兄貴」になった。

そんな頃。





「弟のくせにっっ!!」

「またそれかよ!!能なしっっ!!!」

ケンカ

殴っても胸は痛くない。

ゾクゾクするよ。

青アザがつく。

つけてるんだ、俺が、お兄ちゃんに。

お兄ちゃん好き。

好き、

好き、

大好き。

だから、俺を特別にしてよ。




無理だ。

そう、兄貴はモラリスト。

受け入れも、信じようともしねぇ

そういう奴だ。




好き、

好き、

お兄ちゃん。

「……、」

ふいに訪れた出来事。

「な〜んだよっ、もぉ〜〜〜。」

テーブルの上には缶が一つ。

りんごジュース?

「う〜、くらくらだぁ、」

ちがう、酒だ。

まちがって飲んだんだろうな、きっと。

「あ、ゆうくん!」

抱きついてくる。

この酔っ払い。

昔のように呼ぶなよ。

「ゆうくん∨ゆうくん∨」

「……」

「どーかしたの?えへへ、探したんだよ。」

俺も探してた。

今も探してる。

お兄ちゃん。

「俺のコト、好きか?」

「うん!」

兄貴じゃない、お兄ちゃん。

頬なんか摺り寄せてきやがって、

正気だったら、こんなコトしないもんね。

「どれくらい好き?」

「う〜ん、すごく、すっご〜く好き。」

「嘘だ。」

そう

嘘つきだ。

兄貴でもお兄ちゃんでも

それは嘘。

「本当だよっ!」

「…俺がどんな奴でもか?」

「うん、あーーたりまえ。」

「悪いコトしても?」

「わるいことぉ?」

キスをする。

びくつく体をソファに横たえて

頬を舐めた。

「……ゆうくん、」

「ゆうくんじゃねぇ、祐希だ……。」

「何かあったの?こんなコトして…怒られちゃうよ。」

「怒られたっていい。兄貴と、わるいコトしたい。」

考えてる。

「……お母さんにヒミツだよ。黙ってるなら、いい。」

本当に?

わからないんだろうか、

どうでもいい。

俺はキスをする。

どうすればいいのか、

知識を総動員させる。

「あはっ…くすぐったい、」

服を脱がす。

白い肌。

傷痕があって、

「…ん、なにっ…やっ、」

くすぐったいのも、触り方で変わるみたいだ。

「ふあっ…あ、あっん!あ、やっ、」

知らないんだ。

わるいコト。

そうだろ?お兄ちゃん。

「んぅ、やっ、やっ…ふぇ、なにっ…やぁ!?」

感じてる。

声、

カワイイ。

「やだっ、ゆぅくん!汚な…いっ!?」

「…わるいコトしてんだ。気にすんな。」

「ふぇっえ…やっ、変だよっ…ん!やぁ、」

全て触れる。

全てなめる。

全て痕つける。

「んっ!あっああ、ゆうくんっ!!」

「祐希だ。」

「なに、やだ、それっ…やっ!?」

わるいコト。

いけないコト。

僕は犯す。

俺は犯す。

突き入れる。

「きゃ…くぅぅ…いたっいたい…いたぁ…、」

痛い?

はじめてだから。

「いたっ…いたいよぉぉぉ、」

泣いてる。

泣かした。

久しぶり、泣いているお兄ちゃん。

動いてみる。

すごくキツクて狭い。

「いっ…くぅ…ふえっえ…もう、やだぁ!やめるぅ…、」

「兄貴、」

「くぅぅ、んっ…っ!?やんっ!あっ…ソコ、やっ!」

中が熱い。

しがみついてくる手は爪を立ててきた。

犯してる。

犯してる。

兄貴を?

お兄ちゃんを

汚してる。

「はぁ、くぅ、いっ…ひはっ、やあ、あ、あっ!」

お兄ちゃん好き。

俺だけ見て。

今みたいに。

「っ…はあっ、や!な…なんか…くるよぉぉ…ひゃあっ!?」

「…っ…、」

「やぁぁあああーーーっ!!!」

いけいないコト。

わるいコト。







したんだよね…ボクたちは。










何回した?

3回以上は確実だ。

どうする?

兄貴はどうする?

目を覚ます。

「…ん…祐希…った!?」

お兄ちゃんが痛みに顔を歪める。

「なんで…あれ、もう朝……?」

「……、」

「ってて…なにしてんだよ、」

え?

混乱しない。

「なんで、こんなに体が…うわっ!?…斑点できてるっ!」

…忘れてやがる。

「バカじゃねぇか、
こんな所で寝やがって。上に行けねぇくらい体力なしか?」

「っ…うるさいなっ!!
なんなんだよっ!!朝からつっかかってきてっっ!!!」

「別に、」

お兄ちゃん。

忘れてちゃったんだね。

もう

知らない。

「おい、祐希っ!!」

「うるせぇ、」

俺は出てく。

もう知らない。

お兄ちゃんなんか

兄貴なんか……

廊下に出て

そのまま壁に寄りかかって

床に尻をつく。

お兄ちゃん、好き。

好き、

好き、

好き、

大好き。



そして



愛してる。

「…お兄ちゃ…ん……、」

胸が痛い。

目が熱い。



泣い…て



泣いてんのか、俺は…

助けてくれ、

気づいてよ、

こんなに想ってんだ。

泣いてんだぜ。

なぐさめに来いよ。

頼むから、

早く来い。

はやく来いよ。

涙が止まる前に

心が凍る前に

ここに、来い。



そうしなきゃ……






「ヘラヘラしやがって、このバカ兄貴がっ!!!」

「んだとぉぉーーーー!!弟のくせにっ!!!」





お兄ちゃんは…

兄貴は、

兄貴は来ない。

来てくれるワケない。

でも来て欲しかった。

兄貴は来なかった。








まだ

アナタは小さな子供。

やがて知る。

後悔と罪悪感、

そして――――。







お兄ちゃん……好き……

す…き……あい…して……


ガシャーーンッッ


雨。

赤い血。

かけよる彼女。





ボクは……







俺は兄貴を嫌いになった。





(終)
4年ほど前に書いたヤツかと思われます。
ええ……かなり、イタイ。
昔はシ○タ系も書いてましたから…一応は卒業したつもり
なんですけど(してなひ?)

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