+++月が見える
今日と云う日が終わる
止まるコトのない真実
ただ誰にでも平等に与えられるモノ
アナタはココに生きなくてはならない
死がアナタを誘うまで
例えばソレはふと在る空気
例えばソレはふと広がる宙
「……、」
「何見てんだよ、」
ソレは前からあった
ソレは急激に沈みこむ
「ヴァイタルガーダーのメンテの時間じゃないのか?」
「…関係ねぇだろ。」
ソレは刺激
ソレは嵐
「探してたぞ、みんな。」
「うるせぇ、」
嵐は呼んでくる
全てを
壊さんばかり
壊れているのか?
「祐希?」
正気だ
壊されてなどいない
正気だ
壊れてなどない
交わる息
絡む瞳
熱を帯びる唇
キス
鋭くなる視線
「…おまえ…っ…、」
何も言わない
弟
何も言えない
兄
言葉は嘘だ
ココロなど伝わると言う
擬似的な嘘
「……なに、すんだよ、」
「うるせぇ…」
熱は真実だ
ココロが伝わらないと云う
擬似的な差異に消える真実
「うるせぇじゃ…ないだろ。何だよ、この腕は、」
「うるせぇ、」
ため息
それは諦め?
何も言わない
何も言えない
「祐希…」
「うるせぇ……」
同情などいらない
哀れみなどいらない
その他一切の感情などいらない
何もいらない
それがあろうと、なかろうと
変わるハズはない
変わらない
変えられないから
『兄貴が好き』
止まる時間
止まったように思えた時間
永遠に残る
刻
「…え……、」
倒錯の視界
そう思う自分
神と同じ
現実は残酷で無慈悲
「今…おまえ…、」
「うるせぇ、うるせぇよ、」
全ての人に平等に与えられる時
動き出す
ココにいてはいけないと言わんばかりに
引き込まれる
青く深く
月
青い月
蒼の月
「…祐希、俺はさ……」
ふと広がる宇宙
想いは溢れ出す星
アナタは月
流れる時
二人の姿を見る
寄り添う様は隔てのない空
アナタは生きなくてはならない
死がアナタを誘うまで
ソレは想い
想いという約束
破れはしない絆
アナタは月
傍に
月が見える。
(終) |