+++Cold&sweet&sweet










薄く瞳を閉じれば、沈むように意識がなくなっていく。


そよ風


小さな公園


困っている俺


泣いていたオマエ


「ダメだよ、ずっと一緒は無理、」


「いやぁーー!いるのぉーーーー!!!」


離れるのを嫌がった弟


「ほら、泣かないで。ずっとは無理だけど…、」


「ずっとじゃなきゃ、ヤダっ!!」


泣き続ける我が侭な…祐希


「もぉ…いい、探すもん。」


拳を握り締めて


「見つけるもん!」


じっと見つめられる


「なにを……?」






「お兄ちゃんと、ずっと一緒にいる方法!!」
















また
懐かしい夢を見たものだと、昂治はベットの上で身じろぐ。
あんなに近くにいた存在。
でも今は、姿すら見えないほど遠くに思える。


――無意味なケンカしないだけでも…マシか、


昔を懐かしむ。
けれど戻りたいワケでもなかった。
身体を起こす。
伝わる気配は、アコーディオンカーテンの向こうを知らせる。
そっとベットから降りて、部屋の仕切りであるそのカーテンを開けた。
あいかわらず散らかった部屋。


「……」


何か言われるかと云う心配は必要ないようだ。
ベットにうずくまるように祐希は寝ていた。
何ともなしに起こさないように近づき、ベットの横に座る。
あんな無愛想な顔も、寝顔は穏やかだ。
置かれている腕に自分の腕を沿わせてみる。


――おっきい…筋肉ついてんだろうな……


これでは適うはずがないと思う。
兄と云うプライドがあった。今もあるけれど、昂治は受け入れた。
弟を認めた。
祐希を認めた。
ベットに頭を垂れて、近くにある祐希の顔を眺める。


――キレーな顔…まつ毛長いな…


軽く笑う。
ちょっと物音を立てても、祐希は起きない。
そう知っているから、昂治は眺めていた。
この感情は何か。
これは感傷なのだろう。


――やっぱり…


「ずっと一緒にいれない…だろ?」


少し胸が痛む。
まだ起きそうもないので、昂治は眺めていようと思った。
もうすぐ、名さえ呼べぬほど遠くに行きそうな祐希を。

あと少しだけ

すっと昂治の瞼が閉じられた。

















「……」


寝息が聞こえる。
パチッと祐希は目を開いた。
久しぶりに見る、兄の寝顔。


「バカが……」


寝たフリを見破れないとは、と祐希は見下す。
かけた声は小さく。起こすものではなかった。
見える唇を、指の腹でなぞる。


「ん…ん……、」


一瞬うめくが、すぐに昂治は静かに寝息を吐く。
昂治の唇をなぞった指で、今度は自分の唇をなぞった。

離れるもんか

祐希は静かに目を瞑った。


















いっしょにいたい















どうすれば…いい?














どうすれば一緒にいられるんだ?













「見つけるもん!!お兄ちゃんとずっと一緒にいれる方法!!!」












………
















その方法

















まだ祐希はみつけられないでいる。






(終)
海月サマへの進呈ブツだったと思います。進呈というより押し付け?
当時は昴治攻めはダメでした…(ん?当時、は?/爆)

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